「タトゥー(tattoo)」と「刺青(いれずみ)」は、本来ですと英語での呼び方か日本語での呼び方かの違いのはずなのですが、実際の使われ方としては微妙な違いがあります。
ここでは本来の意味としてよりも、実際の使われ方としての違いをまとめてあります。
1. 言葉の由来・使われ方
- タトゥー(tattoo)
- 英語の “tattoo” をそのまま日本語に取り込んだ外来語。
- 海外文化やファッションとしてのボディアート全般を指すことが多い。
- ジュエリー風の小さめなワンポイントから、腕や背中を大きく彩るものまで幅広い。
- 刺青(いれずみ)
- 和語で、古くは縄文時代からあったとされる伝統的な入れ墨文化を指す。
- 文字どおり「皮膚を刺して青く染める」技法を強調する言い方。
- 江戸時代には職人の技術を競う芸術と裏腹に、犯罪者や刺青師の社会的制限とも結び付いていた歴史がある。
2. 技法・スタイルの違い
項目 | タトゥー | 刺青(いれずみ) |
---|---|---|
針と機械 | 電動マシンで高速に打ち込む | 手彫り(てぼり)や彫り師の彫刻刀でゆっくり刻む |
デザイン性 | 線が細かく、グラデーションも自在 | 太い線と陰影(ぼかし)を多用する独特の風合い |
作業時間 | 数十分~数時間 | 数時間~数十時間(複数回に分ける場合も) |
3. 社会的・法的な背景
- 温度差のある世間の目
- 「タトゥー」はファッションや自己表現の一部として受け入れられつつある一方で、
- 「刺青」は「ヤクザ文化」「一時的に入れ墨を入れられる入浴施設の制限」など、まだ根強い否定的イメージがある場合も。
- お店や施設での扱い
- 多くのジム・プール・温泉・銭湯では、「刺青=入れ墨あり」と見なされると入場を断られるケースが多いです。
- 「小さなタトゥーでしたらバレにくい」「シールやプロテクターで隠せばOK」という実情もあります。
4. 使い分けのポイント
- カジュアルに話すとき:
「今日はタトゥー入れた?」 - 伝統技術や職人技を強調するとき:
「この刺青師は手彫りで30年のキャリアがある」
――総じて、意味の本質(皮膚を染める行為)は同じですが、言葉の響きやイメージ、技法・歴史的背景に違いがあります。どちらを使うかは、話の文脈や相手への印象を考えて選ぶとよいでしょう。
コメント